2016年度 発展プログラミング演習 用語集
のマークがついている項目は,この授業の範囲外です. 理解していなくても問題ありません.参考程度に読んでおいてください.
あ行
- アダプタパターン (Adapter Pattern)
- 型を変換するためのデザインパターン(典型的な解決策). 既存の型に変更を加えることなく,別の型に変換できるようになる. USBの形状を変換するUSBアダプタの概念をプログラム上で実現したもの.
- インデント (indent)
- 字下げ.行頭に空白(もしくはタブ)を挿入して実現する.インデントを行うことで,プログラムの構造を見やすくできる.Pythonなどの一部のプログラミング言語を除き,インデントによってプログラムの意味は変わらない.
- ウェルカムメッセージ
- 一番最初に表示するメッセージ.プログラムの起動時や,ホームページ訪問時など.
- オブジェクト型(おぶじぇくと型; object type)
- 変数の実体.複雑データ型の実体.変数(フィールド)と メソッドを持つ. フィールドはオブジェクト内の全てのメソッドからアクセスできる変数であり, メソッドはC言語の関数に相当する.
- オブジェクト指向(おぶじぇくとしこう; object oriented)
-
オブジェクトを基本としたプログラムの考え方.OOと略される場合もある.
ちなみに,日本語の場合は,オブジェクト指向と言えるが,英語だと,Object Oriented ProgrammingやObject Oriented Designのように,オブジェクト指向の何か, まで指定する必要がある.
か行
- 返り値 (かえりち; return value)
- 関数やメソッドが呼び出された結果として, 呼び出し元に返される値のこと.計算結果の場合もあれば,正常に終了したかを示す場合もある. また,何も返さない場合もある. 戻り値(もどりち)とも呼ばれる.
- 角括弧 (かくかっこ; brackets)
-
[ と ] のこと.
refs. 括弧,波括弧 - 可視性 (かしせい; visibility)
-
属性(フィールド)や操作(メソッド)に対するアクセス可能な範囲の定義のこと.
可視性を適切に設定することにより,カプセル化が可能になる.
Javaでは,次の4つの可視性が設定可能である.
- public
- どこからでもアクセス可能.
- protected
- 同一パッケージのクラスとそのクラスのサブクラスからのみアクセス可能.
- package private
- そのクラスと同一パッケージのクラスからのみアクセス可能.
- private
- そのクラス自身からのみアクセス可能.
- 括弧 (かっこ; paren, parenthesis)
-
( と ) のこと.
refs. 波括弧,角括弧 - カプセル化 (かぷせるか; encapsulation)
- オブジェクト指向の特徴の一つ. 情報隠蔽を行い,必要なデータ,本質的な振る舞いのみを外部に公開し, その物事に特化した内容は,専用のものしか扱えないようにする仕組み.
- 仮引数 (かりひきすう; parameter)
- 関数やメソッドが呼び出し元から 値を受け取るための変数のこと.実引数が入れられる変数のこと.
- 関数 (かんすう; function)
-
意味的にまとめられる一連の手続きのことで,名前が付けられている.
値を受け取ることができ,手続きの処理結果を返すこともできる.
refs. メソッド - 木構造 (きこうぞう; tree structure)
- 右図のようなデータ構造.ノード(接点,頂点)とノード間を結ぶエッジ(枝,辺)で表現される. 各ノードは0個以上の子ノードを持つ.子ノードを持つノードを親ノードと呼ぶ. また,親ノードを持たないノードのことをルートノード(根ノード)と呼ぶ.
- キャメルケース (camel case)
-
CamelCaseのように,単語の最初の文字を大文字にして単語の区切りのスペースを削除する名前の付け方.
一番最初の文字を小文字にする場合(camelCase)をローワーキャメルケース (lower camel case),
大文字にする場合(CamelCase)を,アッパーキャメルケース (upper camel case)と呼ぶ.
Javaでは,クラス名はアッパーキャメルケース,メソッド名,
変数名をローワーキャメルケースとして宣言することが推奨されている.
refs. スネークケース - クラス (class)
- プログラムの動作が書かれた動作設計図のこと.
- クラス宣言 (class definition)
- ソースコードにおける,クラスを定義している部分.Javaにおいては,
class Xxxx
で始まる波括弧で囲まれた部分を指す. - クラス名 (class name)
- クラスの名前.
さ行
- シグネチャ (signature)
- 関数やメソッドの, 名前,引数,返り値の組み合わせのこと.
- 実引数 (じつひきすう; arguments)
- 関数やメソッドを呼び出すときに 渡す実際の値のこと.仮引数に入れられる値を指す.
- スコープ (scope)
- 変数の有効範囲.一般的に,宣言された場所が含まれる一番内側の 波括弧内のみで,その変数が有効になる.
- スネークケース (sneak case)
-
sneak_caseのように,単語の区切りのスペースをアンダースコア(_)にして,繋げる名前の付け方.
refs. キャメルケース
た行
な行
- 波括弧 (なみかっこ; curly brace)
-
{ と } のこと.
refs. 括弧,角括弧
は行
- ハッシュコード (hash code)
- ハッシュ関数と呼ばれる関数を用いて得られた整数値のこと. ハッシュ値(はっしゅち)とも呼ばれる. ハッシュ値から元の内容を予測することが困難, 似た元データであっても全く異なるハッシュ値が算出される, ハッシュ値の重複が稀であることなどの特徴がある.
- パッケージ (package)
-
Javaの型をグループ化するための仕組み.
型に名前空間を与える仕組み.
Javaの型は必ず何らかのパッケージに所属する.
型名はパッケージ名に続くクラス名で表現される.
例えば,
List
型はjava.util
パッケージに所属しており, 正式な型名は,java.util.List
となる. プログラム中に,java.util.List
と書くのを省略するために,import
文が用意されている.import
文で書かれたクラス名は,それ以後,パッケージを省略できるようになる. また,パッケージは可視性にも影響し, 同一パッケージと,異なるパッケージでは,アクセスできるメンバが異なる. - 引数 (ひきすう; arguments, parameter)
- 関数やメソッドが呼び出し元から 受け取る値のこと,もしくはその変数のこと. 実引数と仮引数の総称.
- 標準エラー出力 (ひょうじゅんえらーしゅつりょく; standard error)
-
エラーメッセージなどを出力するための,標準出力
とは別の出力先のこと.標準出力とは独立しているため,一方のみをリダイレクトすることもできる.
デフォルトの出力先は,標準出力と同じく端末である.
例えば,
gcc sample.c > compile
としても, コンパイルエラーは標準エラー出力に出力されるため,コンパイルエラーが端末に表示される. コンパイルエラーのみをリダイレクトしたい場合は,gcc sample.c 2> compile
とする. この2という番号が標準エラー出力を表す番号であるためである.
refs. 標準出力,標準入力 - 標準出力 (ひょうじゅんしゅつりょく; standard out)
-
プログラムの出力結果を表示するための出力先である.標準的には,端末が出力先である.
リダイレクトすると,標準出力が切り替えられることになる.
例えば,
ls > list.txt
とすると,標準出力が,list.txt
というファイルに切り替えられ,ls
の結果がlist.txt
に出力されることになる.
refs 標準エラー出力,標準出力 - 標準入力 (ひょうじゅんにゅうりょく; standard input)
-
プログラムに入ってくるデータを表す.標準的には,キーボードからの入力で表される.
プログラムをパイプで繋いだ時,例えば,
ls | wc
とした時, 前のプログラム(ls
)の標準出力と,後ろのプログラム(wc
) の標準入力が繋げられる.すなわち,ls
コマンドの結果をwc
コマンドが受け取り,ディレクトリ内のファイル数を数えられるようになる.
refs 標準エラー出力,標準出力 - フィールド (field)
-
オブジェクトに含まれる変数のうち,ローカル変数を除いたもの.
Javaでは,可視性が指定でき,初期値も決められている.
プリミティブ型の初期値は0,もしくは
false
であり, オブジェクト型の初期値はnull
である. - プリミティブ型 (primitive type)
-
Javaにおけるオブジェクト型ではない型を総称してプリミティブ型と呼ぶ.
boolean
,byte
,char
,short
,int
,long
,float
,double
の8種類が存在する. これらの型はJavaでは中心ではなく,オブジェクト型 を中心としてプログラムが書かれる.
ま行
- 戻り値 (もどりち; return value)
- 返り値を参照のこと.
- メソッド (method)
-
意味的にまとめられる一連の手続きのことで,名前が付けられている.
値を受け取ることができ,手続きの処理結果を返すこともできる.
メソッドは必ずオブジェクト,もしくはクラス
に所属する点が,関数との違いである.
refs. 関数
や行
ら行,わ行
- 列挙子 (れっきょし; iterator)
-
集合の要素を順に取り出すための型.
一般的な言語では,次が存在するかと,次の要素を取得する2つのメソッドを持つ.
Javaでは,
hasNext
,next
がそれらのメソッドの名前に相当する. そのため,次のような使い方ができる.for(Iterator i = list.iterator(); i.hasNext(); ){ i.next(); }
左図のlist
は列挙子を返す型であれば何でも良い.next
メソッドを呼び出すことで,Iterator
内部のカーソルが自動的に次の要素に移るので, カーソルの移動は明示的に行わなくても良い. - ローカル変数 (ろーかるへんすう; local variable)
- メソッドや関数内で宣言された変数のこと. Javaでは,可視性は指定できず,初期値も暗黙的に決まらない上に, 値が一度も代入されなければコンパイルエラーとなる.
アルファベット
- CRUD (クラッド)
- データベースが扱える4つの基本操作の頭文字を並べた用語. Create(生成(追加)),Read(読み取り),Update(更新),Delete(削除)の4種類である.
- JVM, Java仮想マシン (じゃばかそうましん; Java Virtual Machine)
- Javaを実行するための仮想マシン.
java
コマンドで起動する. - Markdown (マークダウン)
- テキストファイルのフォーマット.一定の決まりで書くと,適切なタグを含んだHTMLに変換できる. 詳細は,日本語Markdownユーザ会などを参照のこと.