Javaでファイルを扱うときは File 型を利用します.
名前はFile型ですが,ファイルもディレクトリも同じ型として扱います.
なお,File型を利用するときは,java.io.File のインポートが必要です.File型の
実体を作成するにはファイル名,もしくはディレクトリ名を文字列(String型)で渡しましょう.
File dir1 = new File(".");
File dir2 = new File("../path/to/some/dir");
File file1 = new File("ファイル名");
File file2 = new File("../spring01/BigAndSmall.java");
上記のように,カレントディレクトリを元に,パスの指定も可能です.
指定したファイルが存在しない場合でも問題なく実体を作成できます.
ファイルが存在しているかは,lsコマンドに必要なFile型のメソッド
にも載せているように File型変数に対して,existsメソッドを呼び出すことで確認できます.
ここでは,lsコマンドに相当するプログラムを作成しましょう.lsコマンドは
コマンドライン引数に渡された情報によって次のように挙動が変わります.
$ java ListFiles # 何も指定されない場合,現在ディレクトリを表示する.
Complex.java Factorial2.java
Fibonacci4.java SquareRoot.java
ComplexCalculator.java Fibonacci2.java
GrandTotal2.java CubicRoot.java
Fibonacci3.java Matrix.java
$ ls Complex.java
Complex.java
$ java ListFiles .. # ディレクトリを指定した場合,中身を表示する.
spring01/ spring02/ spring03/ spring04/
spring05/ spring06/ spring07/
$ java ListFiles ../spring01
Adder.java EvenPrinter.java
LeapYear.java OddPrinter2.java
BackSlashPrinter.java EvenPrinter2.java
Multiplication.java PositiveChecker.java
BigAndSmall.java GrandTotal.java
OddPrinter.java XPrinter.java
$ java ListFiles ../spring00 # 存在しない場合
ls: ../spring00: No such file or directory
表示の順序,改行の位置は必ずしも同じでなくても構いません.
では,lsコマンドを作成していきましょう.lsコマンドを
作成するために,File型の次の3つ(4つ)メソッドが利用できます.File型の
変数 file に対してメソッドを呼び出すと思ってください.
file.getName()
String型として返る.file.isDirectory()
Boolean型の trueが返る.Boolean型の falseが返る.file.isFile()
Boolean型の trueが返る.Boolean型の falseが返る.isDirectoryの判定と,isFileの判定のどちらかを利用すれば良いでしょう.file.exists()
Boolean型のtrueが返る.存在しなければfalseが返る.file.listFiles()
File型の配列(File[])が返る.file.isDirectory()がtrueを返さない場合,listFilesメソッドはnullを返します.さて,lsコマンドに必要なFile型のメソッドにある
4つのメソッドを利用して,lsコマンドを作成しましょう.
次のコードを元に作成してください.以下のコードの....の部分に適切な命令を書きましょう.
// import文を書く.
....
public class ListFiles{
void run(String[] args){
for(String arg: args){
File thisFile = // ....
// argを元に,File型の変数を作成する.
this.listFile(thisFile);
}
if(args.length == 0){
File currentDirectory = // ...
// カレントディレクトリ(".")を表す File 型の実体を作成する.
this.listFile(currentDirectory);
}
}
void listFile(File target){
if(this.isExist(target)){
if(....){ // 引数に与えられた target がディレクトリの場合
this.listFilesInDirectory(target);
}
else{
System.out.printf("%s%n", ....);
// 引数のファイルの名前を出力する.
}
}
}
void listFilesInDirectory(File dir){
// 引数に受け取ったディレクトリの中身一覧を取得する.
File[] files = ....
// for文で files を繰り返す.
for(....){
// 配列の各要素であるファイルの名前を出力する.
}
}
Boolean isExist(File target){
Boolean exists = // .....
// target が指し示すファイルが存在するかを確認する.
// File型の existsメソッドを利用する.
if(!exists){ // ファイルが存在しない場合
// 指定されたファイル名は存在しない旨を出力する.
System.out.printf("ListFiles: %s: No such file or directory%n",
target.getName());
}
return exists;
}
// mainメソッドは省略
}
ファイルの情報を出力するプログラムを作成しましょう. コマンドライン引数で指定されたファイルの次の情報を取得して出力してください.
ls -lで表示される rwx のこと.
rwxはそれぞれ,読み込み権限,書き込み権限,実行権限を表します.権限があれば文字が表示され,権限がなければ-で表されます.r--であれば,内容は読めるが,書き込み,実行が不可能であることを表します.以下のメソッドで必要な情報が取得できます.これらのメソッドも全て,File型が持ちます.
以下の説明では,lsコマンドに必要なFile型のメソッド
と同じく,File型の変数 file に対してメソッドを呼び出すと思ってください.
file.canRead(): ファイルが存在し,読み込み権限があればBoolean型のtrueを返します.file.canWrite(): ファイルが存在し,書き込み権限があればBoolean型のtrueを返します.file.canExecute(): ファイルが存在し,実行権限があればBoolean型のtrueを返します.file.getAbsolutePath(): この実体が表すファイルの絶対パスをString型で返します.file.getPath(): この実態が表すファイルのパスをString型で返します.実体を作成するときに渡した文字列がそのまま返されます.file.getName(): lsコマンドに必要なFile型のメソッドで示した通りです.file.isHidden(): ファイルが隠しファイルであれば,Boolean型の trueを返します.
macOSであれば,.から始まるファイルは隠しファイルです.file.lastModified(): 最終更新日をLong型で返します.
日付(Date)型に変換するには,Date date = new Date(file.lastModified())としてください.file.length(): ファイルの長さをLong型で返します.// import文を書く.
....
public class FileInfo{
void run(String[] args){
for(String arg: args){
File thisFile = .... // argを元に,File型の変数を作成する.
this.showFileInfo(thisFile);
}
}
void showFileInfo(File target){
if(....){ // ファイルが存在する場合.
this.showInfo(target);
}
else{
// 指定されたファイル名は存在しない旨を出力する.
System.out.printf("FileInfo: %s: No such file or directory%n", ....);
}
}
void showInfo(File target){
System.out.printf(
"%s %6d %s %s (%s) %s%n",
getMode(target),
...., // ファイルの長さを指定する.
...., // ファイルの最終更新日を Date 型で指定する.
...., // ファイルの相対パスを指定する.
...., // ファイルの絶対パスを指定する.
getHidden(target)
);
}
String getHidden(File file){
if(....){
return "隠しファイル";
}
return "";
}
String getMode(File file){
String rwx = "";
// 読み込み権限があるか確認する.
if(....) rwx = rwx + "r";
else rwx = rwx + "-";
// 書き込み権限があるか確認する.
if(....) rwx = rwx + "w";
else rwx = rwx + "-";
// 実行権限があるか確認する.
if(....) rwx = rwx + "x";
else rwx = rwx + "-";
return rwx;
}
public static void main(String[] args){
FileInfo info = new FileInfo();
info.run(args);
}
}
$ java FileInfo FileInfo.java
rw- 1617 Fri May 12 15:43:20 JST 2017 FileInfo.java (/Users/tamada/ksuap/spring07/FileInfo.java)
$ java FileInfo ListFiles.java ~/.bashrc /usr/bin/java
rw- 1621 Fri May 12 15:32:17 JST 2017 ListFiles.java (/Users/tamada/ksuap/spring07/ListFiles.java)
rw- 578 Fri May 12 13:27:36 JST 2017 /Users/tamada/.bashrc (/Users/tamada/.bashrc) 隠しファイル
r-x 58560 Wed Sep 14 09:55:30 JST 2017 /usr/bin/java (/usr/bin/java)
次に,treeコマンドのように,ディレクトリのツリー構造を表示しましょう.
クラス名は,TreeViewer としてください.
Integer型の変数を宣言しましょう.traverseメソッドを宣言しましょう.
File型の変数とインデントレベルを表す数値(Integer型)を引数として受け取ってください.voidです).File型変数がファイルであった場合,ファイル数をインクリメントしてメソッドを終了してください
(returnしてください).File型変数がディレクトリであった場合,次の処理を行なってください.
listFiles).File型の配列の各要素に対して,traverseメソッドを呼び出してください.
traverseメソッドも終了です.runメソッドは次の処理を行なってください.
File型の変数を宣言してください.File型に変換してください.File型の実体を先ほど宣言したFile型変数に代入してください.traverseメソッドを呼び出してください.
File型の変数,インデントレベルは0としてください.traverseメソッドの呼び出し後,ディレクトリ数,ファイル数を出力してください.$ java TreeViewer prog
prog/
spring01
Adder.java
... 途中省略
XPrinter.java
spring02
DateExample.class
... 途中省略
StringBuilderExample.java
spring03
ArgsSorter.class
... 途中省略
TrapezoidalRulePi.java
spring04
ArgsPrinter2.class
... 途中省略
StatsValues.java
spring05
Complex.java
... 途中省略
SquareRoot.java
spring06
Bound.class
... 途中省略
ThrowingExercise2.java
spring07
FileInfo.class
... 途中省略
ListFiles.java
8 directories, 98 files
このようにディレクトリが存在しなくなるまでディレクトリを掘り進んでください. コマンドライン引数で渡す文字列は1つで良いです(複数の引数に対応する必要はありません).