2016-09-22 第1回目 Java言語の基礎1

本日のテーマ

Java言語の基礎1

基礎の基礎

Hello World

Java言語で Hello World を書いてみましょう. 以下のプログラムを書き,HelloWorld.java に保存してください.

public class HelloWorld {
    public static void main(String[] args){
        System.out.println("Hello World");
    }
}

コンパイル方法

コンパイルには,javac コマンドを利用します.

$ javac HelloWorld.java

上記のように javacHelloWorld.java を渡して実行してください. コンパイルが行われます.コンパイルに成功すると,HelloWorld.class というクラスファイルが出力されます. a.out のようなファイルは出力されないことに注意してください.

コンパイルのイメージ

コンパイルに失敗すると,コンパイルエラーがコンパイラにより示されます. 代表的なコンパイルエラーは次の通りです.

実行方法

実行するには,java コマンドを利用します. 先ほどコンパイルして得られた HelloWorld.class を実行するには,以下のようなコマンドを入力しましょう.

$ java HelloWorld
Hello World

実行するときには,拡張子(.class)はつけないことに注意してください.

プログラムの解説

一番外側

Javaプログラムは必ず一番外側が public class Xxxx で囲まれている必要があります.この一番外側の囲みをクラス宣言と呼びます. 変数も関数も必ずこのクラス宣言に囲まれた部分でしか定義できません.

また,Xxxx の部分をクラス名と呼び,ファイル名とクラス名は一致させる必要があります. 上の例の場合では,public class HelloWorld{ ... } ですから,HelloWorld.java に保存しなければいけません. それ以外のファイル名に保存すると,コンパイルできません.

画面に出力する方法 (printf)

Java言語で標準出力に文字を出力するには,System.out.printlnを利用します. 改行を伴って出力されます.改行したくない場合は,System.out.print を用いてください.

C言語のように,printfを利用したい場合は,System.out.printf を利用してください. ただし,改行は \n ではなく,%n を利用してください.

文字列

C言語と同じく,文字列は,"mojiretu"のように,”“(ダブルクォート)で囲まれて表されます.

mainメソッド

C言語における関数は,Javaでは,メソッド(method)と呼びます. main メソッドは,Javaプログラムを実行した時に一番最初に呼び出されるメソッドです.

main メソッドは,必ず public static void main(String[] args){ ... } であり, なんらかのクラス宣言に含まれています.

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基礎文法

条件分岐

概要

条件分岐は,if もしくは switch を用います. 文法は,C言語と同じです.典型的な例を次に示します.

if(条件式1){
    // 条件式1が成り立ったときに実行される文.
}
else if(条件式2){
    // 条件式2が成り立ったときに実行される文.
}
else{
    // 条件式1も条件式2も成り立たなかったときに実行される文.
}

C言語の場合,条件式は int 型で表現しましたが,Java言語の場合, Boolean 型となります. Boolean 型は,true もしくは false の2値で表される型です. C言語のようにプログラムを書くと,Boolean型になるようになっているので,そこまで気にしなくても良いです.

Boolean型による条件分岐
if(value = 10){
    // この場合,if文の条件が Integer 型になるため,コンパイルエラーになる.
}
if(value == 10){
    // こう書くと,value == 10 の結果は Boolean になるため,Javaのif文として成り立つ.
}

例題

整数型である Integer 型の値が正負のどちらかであるかを if 文を使って判定しましょう. 以下のプログラムを完成させてください.

public class PositiveChecker{
    public static void main(String[] args){
        Integer value = 5;
        if(.....){
            System.out.printf("与えられた数値は正の値です: %d%n", value);
        }
        else{
            System.out.printf("与えられた数値は負の値です: %d%n", value);
        }
    }
}

完成すれば,value の値をいろいろと変更して,実行してみましょう.

出力例
$ java PositiveChecker
与えられた数値は正の値です: 5
$ java PositiveChecker
与えられた数値は負の値です: -9

繰り返し

概要

繰り返しは,for もしくは while を利用します.文法はC言語と同じです. 典型的な例を次に示します.

for(Integer i = 0; i < 10; i++){
    // iが0から9までこの文を繰り返す.
}

Integer loop = 0;
while(loop < 10){
    // loopが0から9までこの文を繰り返す.
    loop++;
}

ループ制御には,Integer型を利用します.また,if文と同じく,繰り返し文の継続条件はBoolean型で表現されます.

例題

for 文を使って,1以上,100未満の奇数の値を出力しましょう.

public class OddPrinter{
    public static void main(String[] args){
        // for文を使って繰り返し.
    }
}
出力例
$ java OddPrinter
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99

完成すれば,1以上,100未満の偶数値を出力する EvenPrinter を作成してください.

例題 改1

OddPrinterEvenPrinter それぞれで,20個の数値を出力するごとに改行してください.

出力例
$ java EvenPrinter
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40
42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80
82 84 86 88 90 92 94 96 98 

Java言語は,C言語に比べて,非常に多彩な型が存在します(標準で約4,000の型が用意されている). 型がわからなければ,プログラムが読めなくなりますので,C言語のとき以上に型に気をつけてください.

この講義では,とりあえずは,次の型さえ区別できていれば良いです. 講義が進むと,さらに扱う型が増え,最終的に標準で用意されている型では,20 程度の型を使うことになります.

変数の宣言方法

C言語と同じく,型名の後ろに変数名を書いて変数を宣言します. 型名は先にも述べたように,C言語と比べて非常に多彩な型が出てきます. 変数がどんな型であるのかを把握しなければプログラムがわからなくなりますので, 変数の型に気をつけてプログラムを読むようにしましょう.

Integer intValue;       // Integer型の変数 intValue を宣言した.
intValue = 10;          // intValue に10を代入した.
Double pi = 3.14;       // Double型の変数 pi を宣言し,3.14 を代入した.
String name = "Tamada"; // String型の変数 name を宣言し,"Tamada"を代入した.

代表的な型

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練習問題

本日の残りの時間で,次に挙げる練習問題を順に作成してください.

1. Big & Small

0から1までの Double 型の乱数を発生させ,その値が0.5より小さければ Small,0.5以上であれば Big と出力するプログラムを作成してください. 0から1までの Double 型の乱数は,次のコードで得られます.

public class BigAndSmall{
    public static void main(String[] args){
        Double value = Math.random();
        // valueには0から1の乱数が代入されている.
        System.out.printf("value: %f: ", value);

        // ここに判定のプログラムを書いていく.
    }
}

実行すると,そのときの value の値と Big もしくは Small の文字列が出力されます.

出力例

以下の出力例と同じ結果は出ませんが,条件に示したように,value の値が0.5より小さいか,以上かで判定できているかを確認してください.

$ java BigAndSmall
value: 0.327039: Small
$ java BigAndSmall
value: 0.582704: Big
$ java BigAndSmall
value: 0.239037: Small
$ java BigAndSmall
value: 0.304460: Small

2. 加算器

次のプログラムを作成しましょう.

  1. クラス名は,Adder とする.
  2. main メソッドを用意する.
  3. main メソッド内で Integer 型の変数 result を宣言する.
  4. 1+2result に代入する.
  5. resultSystem.out.println を使って出力する.

変数の宣言は,C言語と同じように,型 変数名;の順に書きます. 変数への値代入もC言語と同じように=を利用します. また,Javaでも,変数は利用する前に宣言しなければいけません.

出力例

$ java Adder
3

result に代入する値を変更すると,結果も変わることを確認しましょう.

3. うるう年の判定

与えられた年がうるう年であるか否かを判定しましょう. うるう年は,次のように判定します.

次のようなフローチャートになります.

うるう年判定のフローチャート

public class LeapYear{
    public static void main(String[] args){
        Integer year = 2016;
        Boolean leapYear = false;
        // ここに判定処理を書いていく.
 
        if(leapYear){ // leapYearがtrueの場合.
            System.out.printf("%d年はうるう年です.%n", year);
        }
        else{
            System.out.printf("%d年はうるう年ではありません.%n", year);
        }
    }
}

完成すれば,year の値を変更して実行結果を確認してください. なお,2000, 2004, 2016年はうるう年,2100,2015, 1900年はうるう年ではありません.

条件文の AND, OR, NOT

出力例

以下のように,判定する年を変更して実行結果を確認してみましょう. 以下の例では省略していますが,year に代入する値を変更するたびにコンパイルしてください.

$ java LeapYear
2016年はうるう年です.
$ java LeapYear
2000年はうるう年です.
$ java LeapYear
2004年はうるう年です.
$ java LeapYear
2100年はうるう年ではありません.
$ java LeapYear
2015年はうるう年ではありません.
$ java LeapYear
1900年はうるう年ではありません.

4. 総和を求める.

ループを用いて,1から10までの総和(10を含む)を求めましょう.次の手順で作成していきましょう.

  1. クラス名をGrandTotal とする.
  2. main メソッドを用意する.
  3. main メソッド内で Integer 型の変数 result を宣言する.
    • result は初期値として0を代入しておく.
  4. main メソッド内で Integer 型のループ制御変数 i を宣言する.
  5. ループ制御変数 i を用いて1から10までループを作成する.
  6. 繰り返しごとに,resulti の値を加算していく.
  7. ループ終了後,result の値を出力する.

ループはC言語と同じように書けます. forwhile のどちらも利用できますので,試してみましょう.

完成すれば,範囲を変更して,総和を求めましょう.

出力例

$ java GrandTotal
1から10までの総和は55です.
$ java GrandTotal
1から100までの総和は5050です.
$ java GrandTotal
1から1000までの総和は500500です.

5. 九九を表示する.

出力例のように,九九を表示するプログラムを作成しましょう. クラス名を Multiplication とします.

出力例

$ java Multiplication
   1  2  3  4  5  6  7  8  9
1  1  2  3  4  5  6  7  8  9 
2  2  4  6  8 10 12 14 16 18 
3  3  6  9 12 15 18 21 24 27 
4  4  8 12 16 20 24 28 32 36 
5  5 10 15 20 25 30 35 40 45 
6  6 12 18 24 30 36 42 48 54 
7  7 14 21 28 35 42 49 56 63 
8  8 16 24 32 40 48 56 64 72 
9  9 18 27 36 45 54 63 72 81 

6. 斜線の描画

繰り返しを利用し,出力例の模様を出力してください. クラス名は BackSlashPrinter としてください.

出力例

$ java BackSlashPrinter
X.........
.X........
..X.......
...X......
....X.....
.....X....
......X...
.......X..
........X.
.........X

7. Xの描画

繰り返しを利用し,出力例の模様を出力してください. クラス名は XPrinter としてください.

出力例

$ java XPrinter
X........X
.X......X.
..X....X..
...X..X...
....XX....
....XX....
...X..X...
..X....X..
.X......X.
X........X

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まとめ

本日学んだ内容は次の通りです.